「後で散歩行くから来いよ。」 「あ、うん、」 ついでに帰ればいいかな、 「そのまま帰らせねぇよ?」 読まれていた。 「リリー行くぞ。」 のそりと起き上がってリリーは自ら壁に掛けてあったリードをくわえて古川の元へ歩いてきた。 「賢い子なんだね、」 「リリーは頭いいからな。なんでも覚える。」 普段は絶対見せない顔でリリーの頭を古川は撫でる。 そういう顔もするんだ。 この時、そんなことを思っていた。