『自分の思いに気付かないなんて馬鹿よね』





思いって何だ?

そう思った俺は由宇さんに問い掛けた。




「いつからそこにいたの?」



少し驚かせたようだけど、いつからいたのか問いかけてくる由宇さんの態度は至って普通だった。



棘があるわけでも、俺を邪険にするわけでもない。




そんな由宇さんの態度に内心すごくほっとして

それを悟られないように
手をかざしながら空を見上げた。





「営業部まで由宇さんの話で持ちきりでした」





この話題をしたら機嫌が悪くなるかな?と思ったけれど、由宇さんがどう思ってるか知りたくて言った。





けれど関心を示さずに日陰にハンカチを敷いて座る由宇さんが意外だった。





あれ?


由宇さんの周りではあまり騒がれてなかった?



俺の取り越し苦労だった?



「相当参ってるかと思って心配してたのに」



隣に腰かけながらそう尋ねると驚く答えが返ってきた。


誉められて悪い気はしなかったって。

だから思ったよりも平気だって。