ピロロン〜♪まもなく〜発車いたします。閉まる扉にご注意ください〜。
ホームにアナウンスが流れる。
美里はいつも通りに、いつもの電車に乗りこんだ。
(相変わらず、あの頃から変わらないなぁ。)
さっき、別れた男友達のことをふと考えていた。
(付き合ってた頃よりまた少しやせたかな?)
結城一真。
美里が過去に遠距離で付き合っていた元カレだった。
(あの人と付き合ってたから、今東京に入れてるって言うのも一理あると思う笑。さすがにもう一度付き合いたいとはまったく思わないけどねー。)
美里は高校生の時、今では当たり前のように存在しているSNSで知り合った人だった。その頃は、まだガラケーでSNSも普及仕立ての時代。顔の見えない人とそういう関係になることはまだ珍しかったため、とても新鮮だったなと一人思いにふけていたのだった。
(んー。恋愛って本当に難しいなー。この先、どんな人と付き合うんだか。)
去年、人生で最長の恋愛に終わりを告げていた美里は、そんなことを思いながら、派手なネオン街が通り過ぎていく光景を見て考えていた。
_そんな時、止まっていた恋の歯車が突然回り始めた。