金曜日の溺愛にはかなわない(完)

「あっぶねー」



気づくと社長に体を支えられていた。



「す、すみません」



あまりにも社長の顔が近くにあったので思わず顔をそむける。



「那月」



ぐいっと社長によって背けた顔は戻される。



「…社長?」



━━チュッ



軽くリップ音がして、いまキスをしたんだと気付かされる。



「…え?」



予想外の出来事に思考がついて行かない。



「さ、食べるか」



そんなあたしに対してなにも動じることのない横暴社長。



「か、帰って!」


「は?何言ってんの?」


「だって…」


「いや、だってじゃなくてここ俺の家」



はっ。
決めたように言ったセリフがまずは失敗だってことに気がつく。



「…帰ります」


「待てって。食べてから送るから」



どこまで行っても通常運行な社長にイライラが募る。



「いいです。一人で帰ります」



バックとコートを持って玄関に向かう。