金曜日の溺愛にはかなわない(完)

「おっ、うまそ」



お風呂から上がってきた社長がテーブルの上にある料理をみて嬉しそうにする。



「ありがと。那月」


「いえ…」



社長はなぜかお風呂上がりになるとあたしのことを名前で呼ぶ。
そこにどんな意図があるかはわかんない。



「食べよ」


あたしをテーブルの前に座らせる。
社長のシャンプーの匂いが鼻をかすめてなんだか照れくさくなるこの瞬間。

意識していないのに、この瞬間だけなぜかいつも照れくさくなるんだ。



「つーか雨ひどくなってんな」



社長が窓を締めにいく。



「ほんとだ」



あたしも窓の外を見に行く。



「ま。帰りは送るし関係ねぇか」



社長はどんなに遅くなってもあたしのことは必ずしも送ってくれる。
まぁ、社長に頼まれたことをやるんだから当たり前っちゃあ当たり前なんだけど。



「那月そこ危ないっ」



あたしが歩き出したときにはすでに遅しで。
落ちていたリモコンにつまづいてトンっと軽く衝撃が走る。