「聞いてる?」

彼の言葉に意識がハッと戻った。


「あ、いや、えっと…ごめんなさいっ」

地面に頭がめり込みそうな勢いで謝る。



そうだよね、私が塞いでたんだ。

皆、前のドアから入ってくれてたんだ。


ううん、入ってくれてたんじゃない。

入るしかなかったんだ。


私なんかがクラスメイトの邪魔をしちゃって。

初日から煩わせちゃって。


そりゃ、声もかけずに避けて、前のドアをつかうよね。

そこに立ってるだけで他人に迷惑をかける私って…。



ガラッ

うなだれてる私を気にも留めないように、彼はドアを開ける。