「予算はかかりそうですけど、でっっかいもみの木を買って飾り付けてお店を華やかにするってのはどうでしょう?」

「─────チキンとオリジナルクリスマスケーキはいいですね。でも何種類販売するかによっては、損失が大きくなりそうな気もしますが」

「一応、毎年やってるんですよ?チキンとケーキは」

「さっき過去のものを見ましたけど、そりゃあ売れないなっていう感じですね。本社に掛け合ってチキンはもっとボリューム出して、ケーキは思い切って有名パティシエにデザインをお願いするとかしないとブラマだけじゃなく他社にも及びません」

「…………あの、もみの木は?」

「このあたりの購買層って、お年寄りと家族連れですよね。若い家族にターゲットを絞って、スタンダードなケーキはやめにしてけっこう攻めたデザインにしたら売れそうです。もう時期も時期ですし、早めに店内もクリスマスムード出していけば、うまくいけばお年寄りにも受けそうな気がします」

「………………あの、もみの木は?」

「……白石さん、そんなにツリーを飾りつけたいんですか」

そういうわけじゃないんですけど、とモゴモゴと小さい声で反抗してみたが、彼はまるで聞いていない。
クリスマスと言ったら、チキンとケーキの前にツリーを連想してしまうのは私だけじゃないはず!あと、サンタクロース!

店舗に出てきた亘理さんを捕まえて、大熊さんの協力で出し合った案を伝えていたところなのだ。
出勤早々に突き飛ばしたことは、お互い大人なので話題には出していない。

身振り手振りで大きなサンタクロースを連想した着ぐるみを二つ作ってみせた。

「イブと当日はスタッフが交代でサンタとトナカイに扮してケーキを売るってどうでしょうか?きっと子どもたちにも好評だと思うんです」

「まあ、ありがちですけど悪くはないですね」

前の店長の時にはクリスマスの時期は、従業員全員が赤い帽子をかぶったりはしたけれど、本格的に盛り上げようという感じではなかった。
集客を見込めるならばやれることはやらなくては。