「三日間の売上、どうやら過去のものと比べても相当良かったんじゃないかと思います。人手不足になるのも俺が来てからは初めてでした」

大きな口でご飯を頬張った亘理さんが、クリスマス期間のコマチの健闘を昨日のことのように話してくれた。

「本社からヘルプが来ても、足りないくらいでした」

「みんな休憩時間を削ったみたいですよ」

「明日、皆さんにちゃんとした勤務時間を申請してもらいます。余分に働いた時間は、残業代出ますから」


大きなお皿に乗せた、大きなチキン。
素朴な味つけだけどきちんと旨味はあり、なにより身がフワフワで柔らかくてジューシー。
見た目も味も食べ応えも、文句なしだった。

チキンの味を堪能しつつ、おもむろに携帯に届いていた友達からの写真を彼に見せる。

なんだろうと画面をのぞいた亘理さんは、一瞬なんの写真なのかと目を細めた。


「これは、なんですか?」

「友達から送ってもらったんです。昨日のブラマの写真です。お店に続く道路の」

「やはりすごい行列ですね」

感心したようにつぶやく彼に、私は自分の見解を述べる。

「私、思ったんです。この行列を見て、並ぶのやめた人もいるのかなって。その人たちが、コマチに流れてくれたのかな、なんて」

「まあ、それはありえなくもないですね。そのくらい昨日はうちも混みましたから」

「コマチで働いて三年ですが、たぶん、ここまでたくさんのお客様が来たのって初めてです」

「この日のために頑張ってきましたから、成果が出て良かった」