「今日はお疲れ様でした」
「亘理さんもお疲れ様でした。ご飯より先にシャワー浴びますか?」
「あー、そうですね。汗を流します」
私はすでに浴びちゃいましたと言うと、彼は苦笑いしてチキンが入った袋を渡してきた。
「来年からは、サンタさんとトナカイさんは一日交代が望ましいですね」
「でしょう?本当にハードでしたよ、この三日間」
嫌味ったらしく口をとがらせながら、チキンを取り出してキッチンに置く。フタはしまっていても、ふんわりと美味しそうないい匂いがした。
申し訳なさそうに亘理さんが近づいてくる。
「はい、それで、これはお詫びです」
「え?なんですか?」
振り返ると、彼はもう一つ袋を持っていた。
「クリスマスケーキ、コマチオリジナルのもの一つ取り置きしてました。カツヒコヤスダのものじゃなくてすみません」
「─────嬉しいです」
胸がいっぱいになりながらも、なんとか口にできた素直な気持ち。
込み上げる愛しさを、どうしてくれよう。
にこっと笑った亘理さんはケーキを箱ごと冷蔵庫に入れて、
「喜んでもらえて良かったです。じゃあ、お風呂いただきますね」
とリビングを出て行った。



