私はその場にいたくなくて、思わず走り出していた。

「りり!?」

「莉々花!」

2人の呼ぶ声がしたけど、振り向けない。

家まで全速力で走り、玄関を開けるとお風呂上がりのお姉ちゃんがリビングから顔を出した。

「わぁ、びっくりした!あんたこんな時間にどこ行ってたの?またお母さんに怒られるじゃんっ」

「いいの!もう!」

お姉ちゃんの横を通り過ぎ、二階の自分の部屋へ向かった。

しっかり鍵を閉めてベッドの上にバタンと横たわる。

バカバカバカ、お母さんのバカ―――!

なにも新くんの目の前で言わなくても……。

しばらくして玄関が開く音がした。

お母さんが帰ってきたんだ……。

足音が私の部屋の前で止まる。


「莉々花、帰ってるのよね」

「……」

「こんな夜中にひとりで帰るなんて危ないじゃない。もうあんな事しないで」

誰のせいだと思ってんのよ……。