わっ手が!てか、この体勢ヤバいよ……。

自分の手が小刻みに震えてるのを感じる。

私の手よ、静まれ~~~!

新くんは鼻歌を歌いながら自転車をこぎ出した。

ハンドルを握る腕が筋肉質で思わず見入ってしまう。

背中も大きいな…男子って、やっぱり女子と体のつくりが全然違うんだ。

胸が張り裂けそうなくらいドキドキして、手に汗が滲む。


「あー、やっぱバイク早くほしいな。そしたらこんくらいの距離一瞬なのに」

「買うの?」

「高校入ったら先輩が合格祝いにくれるって」

さっきみんなで話していたことを思い出す。

「あのさ……新くんも南高志望なの?」

「え?」

こんなこと聞いてもいいのかと思ったけど……。

「本当はどっか違う高校に行きたいんじゃないかなって……」

「…さっきも言ったじゃん、この頭で入れるとこなんてそこしかねーし」

「でも、新くんは頭がいいってみんな……」