「新だよ。他のヤツに触らせたくないってことじゃないの?」
「そ、そんなわけ……」
「はぁ。りりも鈍感だし奥手だからなぁ」
泉が腕を組みながらため息をつく。
だって新くんが私を好きになる理由なんて…。
「もう23時だけど、りり帰らなくて大丈夫なの?」
「あ…、そろそろ帰らなきゃないかな…」
「よしキタ」なんて言いながら、泉が少し離れた場所にいた新くんの事を呼んだ。
「新さぁ、チャリでしょー?りりのこと送ってやってくんなーい?」
「えっ!ちょっと泉!」
「いーからいーから」と、小声で私に言う。
新くんは「いーよ」って言ってくれたけど、迷惑なんじゃ……。
泉と萌乃に『ガンバレッ』なんて言われたけど、何をどう頑張ればいいのー!
私は申し訳ない気持ちのままゲーセンの外へ出た。
新くんがゲーセンの前に停めていた自転車に鍵をさす。
「ニケツしてく?」
「私重いけど……いいの?」



