みなみが泣きながら電話をよこしたのは、それから数週間後のことだった。

俺と別れる前から父親のDVが再発していて、以前よりも頻繁に殴られるようになったと聞かされた。

父親の会社の経営が傾きかけ、そのストレスで一時的なものかもしれないと、みなみとみなみの母親は我慢していたらしい。


どこまで父親を信用してんだよ…。


付き合ってるのかとばかり思っていた紺野ともまだ付き合っていなくて、この事も知らないと言う。


俺は放っておけなかった。

もう一人の自分を見ているようで…。

俺の足は自然にみなみの元へと走っていた。


久しぶりに会ったみなみの手首には沢山切り刻まれた跡があって。

「バカかよ、ほんとに…」

泣いているみなみを抱きしめることしかできなかった。

「せっかく落ち着いたと思ったのに…お父さんにまた殴られたって新に言いづらくて…」

「だからってこんなんなるまで一人で抱え込むな」