俺に気づくと電話を切って立ち上がった。
「なにそこで突っ立ってんの?」
「ダチに呼ばれたから帰る」
無愛想にそう返すと、大河が俺の顔をじっと見て、「あの女か」と呟いた。
なんでわかんだよ、超能力者か。
「お前らの関係ってなんなの?別れてんのに何があんの?」
「大河には関係ねえ」
横を通り過ぎようとした時、ガッと右肩を掴まれた。
「じゃあ、他の女はどーでもいいんだよな?」
「……は?」
「元カノから離れらんねーんだろ?お前は」
ふっと、りりの事が頭をよぎった。
「何が言いてーんだよ、りりに手出したらぶっ殺す」
「ぷっ。そんなにりーちゃんが心配なら側にいてやればいいだろうが」
「…無理だから」
「はぁ?」
「とにかく遊びで手ぇ出すな、あいつはそういう女じゃねえ」
肩に置かれた大河の手を払いのけ、エレベーターに乗り込んだ。