今日は俺にとって、訪れてほしくない一日であり、訪れてほしい一日である。 


なぜなら俺の大好きな唯がこの理事長室をあまり訪れなくなるからだ。


いつも、來斗が学校にいる時間、唯はここにいた。

一緒に色々と過ごした。

 

だが、今日からは唯もここの生徒となる。


授業があるため、来る頻度は減るだろう。

光「ハァー」


このため息は何度目だろうか。

唯は時々、理事長室を抜け出すときがあった。


本人によると、「お話ししてだけ。」なんだそうだ。



どうみても話していた男子生徒は下心ありありだし、女子生徒も唯のかわいさに惚れているようだった。


いつも、唯が消えてしまった理事長室を見て、焦り、唯を俺と來斗と信也とで探し回る。


見つけたら見つけたで怒る気も失せる何もなかったかのような優しい笑みを唯はこちらに見せてくる。


そんな唯に、ほとんど会えなくなるなんて、、、ッッ!

耐えられん‼


だが、同時に嬉しい事でもあった。

絶望の底にいた唯が、人と関わろうと、一歩踏み出してくれたのだ。




だが、だが、、、、





光「なんでなんだぁー!?」



零「あっあの?光さん?入っていいですか?」

と、扉の向こうから俺の後輩の声が聞こえる。


俺があぁ、と返事をすると結構なイケメンたちが入ってくる。



零たち、桜麗の幹部たちだ。



唯と同時に今の桜麗の幹部たちも、この鬼蘭高校に転入するのだ。



もしかしたら、こいつらなら、唯を救ってくれるかもしれない。

そんな淡い期待もあるのも確か。


だが今は、、、、



光「お前ら!唯を泣かしたら許さねぇからな!!」





・・・・・・・・・・・・・。
 




雅「光さん、唯、とは?どちら様ですか?」


光「唯を気軽に呼んでんじゃねぇ‼」


俺は、今日のイライラをこいつらにぶつけている。



雄哉「そんな滅茶苦茶なぁ~」


皆、焦っている。

俺が何故怒っているのか分からないからだろう。


知らなくて当然だがな。


光「とにかく、唯を守れ。担任呼ぶから。」




《信也。今すぐ来い。》



全「(なんと放送のルールを殴り捨てた恐怖の放送、、、ッ!)」


ドタドタドタドタドタドタッ

ガチャ‼


信「その放送、いい加減やめろ。マジ怖い。」


光「信也がお前らの担任な。昼休みにもう一回、ここに来いよ。あっ静かに扉を開けることだ。」



桜麗「??はい!」


失礼しました。とあいつらは部屋を出ていく。


にしても、今日は大人げなかったか。

でも、昼休みは唯が寝てるから、伝えることは伝えた、か。




俺は遅刻した、唯と來斗とを待ち続けた。

光「(なんか健気。)」