俺が唯を抱えてるっていうのに、お構いなしに母さんは唯に抱きつくし。



俺の唯だぞ!?

 
今さっきのことでどれだけ俺らの家族が唯が大好きかっていうのがわかったと思う。




あのクソ兄貴も唯にはデレデレだしな。



來「(唯、時計読むのもうちょっと頑張らないとな。)」


唯は俺が11歳の時、家にやって来た。

 
何があったかはわからないが、すごく絶望したような顔をしていた。



感情も何もかもを捨ててしまった顔だった。



親父は唯の事情を知っているのか、唯をみる目が出会ったときからどこか儚いものでも見守るような顔をしていた。




唯が時計や文字、言葉がわからないと聞いたとき、とても驚いた。
最近は少しずつ、言葉も理解して会話ができるようになった。



唯と会話ができたとき、どんなに嬉しかったことか。



それと同時に俺が守らないと、と強く思った。