…はい?フツー?分かってますよ、わざわざそんなこと言われなくても!

その時、お兄ちゃんが口を開いた。

「二人とも、ちょうど良い時に来たな。この子は転校生だ。」
お兄ちゃんはそう言って、自己紹介をするように私に合図した。
「は、初めまして。日下葵です。これからよろしくお願いします…」
最後の方が消えそうなくらい小さい声になってしまったが、二人には聞こえたようだ。

「…よろしくお願いします。」
「よろしくな。」
田口さんはそう言うと、私と握手しようとした。その瞬間一気に鳥肌が立って私は手を引っ込めてしまった。田口さんは一瞬訝しげな目で私を見たが、栄斗がフォローしてくれた。
「玲央、あんまりこいつに触るなよ。こいつはちょっと色々あって、人と接するのが苦手なんだ。」

…ありがとう、栄斗。

「あ、そうそう。葵はこの田口と寮が同室だから。」

「「えええええ!?」」
「正気ですか、隼人さん!なんでこいつが…!?」

私のお兄ちゃんが突然言ったことに、私と栄斗が大声をあげると、田口さんと小川さんがとても驚いた顔をしたが、お兄ちゃんが教室に戻るように言ったので、素直に戻ってくれた。

まさか二人は教室に戻る間、私のことを話していて、その時から二人とその仲間に目をつけられていたなんて…………