「…葵。葵にはこの学校に入ってもらう。その格好もそのためだよ。」

…はい?

「「ええええええっ!?」」
「お兄ちゃん、でも、ここ、男子校… なんだよね?」
そう言うと、
「葵。これは葵のためなんだ。お前のその極度な男嫌いを直すためにな。」
「で、でも、お兄ちゃん!」
「分かってる。」
お兄ちゃんはそう言うと申し訳なさそうに目を閉じた。
「分かってるから———お兄ちゃんたちに任せて?」

私はその言葉に唇を噛み締めた。

「———わかりました…。」
私が頷いたその時、扉をノックする音が聞こえた。
———ガチャ
「失礼します。1年S組の小川拓斗です。」
「失礼します。1年A組の田口玲央です。なんで初日からこんな朝早く…………」
その二人は私たちを見ると、目をまん丸にした。
「あれ、栄斗?何してんの、こんなところで。あれ、誰?そいつ。」
自分で田口玲央と名乗ったその人は、私にグッと顔を近づけた。

「フッ。なんかフツーだな」