「前の学校で私が親友と呼べる人……ううん、本当の友達と呼べる人は一人しかいなかった。その子はエリカって言うんだけどね、アメリカ人と日本人のハーフで、唯一私のことを日下葵として見てくれたの。」
「唯一?」
「葵……どう言うことだよ。」
「ごめんね、栄斗。ずっと言っていなくて。みんな私の家……日下財閥と歌手の、BLUE star としての私しか見てくれなかったの。それが…それがとても悲しかった。辛かったのっ。だけどエリカは違った。彼女は世界NO.3の財閥だった。芸能活動はしていなかったけど、だからといって私を特別扱いしてこなかった。先生でさえも私を特別扱いしてたのにだよ?その時初めてアメリカに行ってからお兄ちゃん以外の人の温もりに触れられたんだ。」
そう言って私が笑うと、お兄ちゃんが笑い返してくれた。
「じゃああいつも、ただの足手まといじゃなかったんだな。」
そう言ってニコッと笑うお兄ちゃんを見て、私もつい笑みがこぼれた。
「当たり前だよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんはとってもたくさんいろんなことしてくれたんだよ?」
二人で笑い合っていると、どこからか人々の焦ってような声と、こっちに向かってくる大きな足音が聞こえた。
「葵、自分の部屋に戻れ。早く!」
お兄ちゃんにぐいと背中を押されて自分の部屋に戻った。
「どうしたんだ?」
お兄ちゃんの声とともにドアが開けられて音が聞こえる。
「あっ、学園長!この方が急に……あっ、困ります!待ってください!」
「おぉ、ここが葵の部屋か。」
え?この声って……?
私は思わずドアを開けそうになって思いとどまる。
今私女の格好だった。多分の今私たちの部屋の前にはたくさんの人がいる。後にしよう。
「おお、翔太か、久し振りだな。……ああ、こいつは俺の弟だ。迷惑かけたな。ほら、とっとと入れ!」
「うおっと、おい、隼人、押すんじゃねぇ。それより、葵は〜、どこだ?」
ガチャ
私はドアを開けてお兄ちゃんに飛びついた。
「翔太お兄ちゃん!どうしたの?」
「あおいいい!会いたかったよおお!」
私たちはとりあえずお兄ちゃんと話をするために座った。



