栄斗達はなんだかコソコソと話をしている。
ヒマだな〜。
「あの…葵。」
「拓人…何?」
「あの……男装解いたらどうですか?」
そう言う拓人の後ろで礼央がうんうんと頷いている。私はそれにクスッと笑ってから頷いて変装を解いた。それからゆっくりと振り返ると、お兄ちゃんと勇にぃがこっちをじっと見ていた。
「「葵いいいいい!おかえり!」」
「わわっ、ふふ、ありがとう、ただいま、2人とも。」
「「栄斗と同じ反応……」」
そうボソッと呟いた2人の声は私意外な届いていない。私は思わず苦笑してしまった。
「そう言えば、葵は男装に抵抗を感じないんですか?」
「え?うーん、特には……結構慣れてるけど。」
そう言うと、栄斗、礼央、拓人はキョトンとした顔をしている。
「ほら、私歌手だったから、自分で言うのも嫌だけど、有名…なの?だから親友に言われてたんだ。男装したら絶対にバレない、って。」
「すげーな、お前の親友。お兄さんに比べたらましだけどな。」
「あ?田口、なんか言ったか?」
「あ、なんでもないっす。その親友って、モデルやってるってやつか?」
礼央がそう言うと、教室であった会話を知らないお兄ちゃんと勇にぃはは?といってこっちを見た。
でも……私はゆっくりと首を振る。
「違うよ……」
「葵は……親友が沢山いたんですか?」
何も知らない礼央と拓人の言葉は私の心を傷つけていく。でも不思議と平気だった。
詳しいことは知らない栄斗も困惑したように私を見てくる。
「栄斗、礼央、拓人……私の話を…聞いてくれる?」
私がそう言うと、お兄ちゃんは葵、ととても小さな声で私の名前を呼んだ。
「私は……大丈夫だよ。」
そういって笑顔を見せるとお兄ちゃんと勇にぃは目は真剣な光を放ちつつも、口元に優しい微笑みを浮かべて私を見てくれていた。



