〜 栄斗 SIDE 〜
「葵、学園長に電話したら?」
俺がそう言うと、葵はキョトンとした顔してこっちを見てきた。しかも本当に何もわかっていないのか、何で、と聞いてきた。葵は頭がいいのにこういうところが抜けていて、たまにそれが恨めしく思う。いや、そのおかげで俺らのこの関係が崩れないでいてくれるが………。いや、話が逸れた。
「お兄さんにあの後何が起きた、とか、ポイントのこととか聞けばいいじゃないか。」
俺がいうと、そっか、と行って早速携帯を取り出した。
「もしもし、お兄ちゃん?うん、聞きたいことが———え?拓人?うん、今代わるね。あっ待って。あんまり怒らないでね?ちゃんと拓人の話聞いてね?うん、今代わる。はあ、あ、拓人、これ、お兄ちゃん、代わってって。多分さっきの学園長室でのことだと思うけど……」
「わかりました。ありがとうございます。……もしもし、はい、拓人です。」
拓人がそう行った瞬間、凄まじい声が聞こえた。これはきっと隼人さんではなく、勇斗さんだろう。こっちの耳までキーンと痛くなった。葵も耳を手で塞いでいる。しばらくすると、拓人が葵に携帯を返した。
「あ、葵……これ、ありがとうござい、ます……」
「う、うん。あの、大丈夫?」
「だ、大丈夫です……ちょっと勇斗さんに……あ、いや、話の続きをしてください。」
葵はそれを聞いて頷くと、また携帯を耳に当てた。何か黒い何かが、葵の後ろから見える気がした。
「あ、お兄ちゃん?ちょっと勇にぃと代わってほしいな?うん、ありがとう。………あ、もしもし、勇にぃ?ね、さっきね、お兄ちゃんの後ろからすごい大きい声が聞こえた時、私すっごく耳が痛くなったの。あの時聞こえたの、何かな〜?」
葵は自分の耳が痛くなったとか言っていたが、それは建前で、本当は拓人のことを気にしているのだろう。しきりに拓人のことを見ている。
「ふーん、やっぱり勇にぃなんだね。でも、おかしいな。なんか声が携帯の向こうとドアの方から聞こえた気がしたんだけど?」
葵がそういうと、バンッとドアが開いて、そこには、青い顔をした勇斗さんと笑いをこらえている隼人さんが立っていた。
「葵、よくわかったな?」
〜 栄斗 SIDE 終わり 〜



