「「そういやぁ、葵はアメリカにいたんだよな！？」」
突然の双子の言葉に私はやっと思考が追いついた。
「なんで、知ってるんだ？」
私がそういうと、拓人と栄斗がごめん、という顔で私の方を見て来た。話を聞いて見ると、昨日寮に帰るとき二人でその話をしていたところ、双子に聞かれて、詳しく話をせざるを得なかったらしい。
「まあ、住んでたけど……なんで？」
その言葉の重要さに私は気づいていなかった。私が肯定すると、クラスのみんながわっと盛り上がった。
「ライブとか行った？」
「う、うん」
「アメリカで友達とそういう話した？」
「まあ……」
サインちょうだいとか言われたよ……
「葵もBLUE starのファンなのか？」
「えっ、ううん。」
だって、自分のファンとかちょっと……
しかし当然そんなこと知らないみんなは急に騒ぎ立てた。
「何で！？」
「すっごくいいよ！特に Alpha Virginis がいいよ！」
知ってるよ、私もその歌が一番好きだし。
でもそんなこと言えるはずもないし、
へー。ふーん。そーなんだ。
みたいな返事をしていたら、みんなはすごく怒ってた。正直なぜそんなに怒っているのかわからなくなり、助けを求めるように栄斗見ると、ため息をついてから助け舟を出してくれた。
「お前、確か親友がモデルかなんかだって言ってなかったか？」
「う、うん。」
私の通っている学校は、芸能科と言われえる科があったから、一応何人かそういうつながりの子はいた。
でも、何で急にその話を？と思っていたところに、ピンと来た。
「そう言えば、お金とかは全部雑誌買うのとかに使っちゃって、もらうのも悪いから……それでみんなも話すときそのことが中心になってたから……あんまり会話にBLUE starが出てくることはなかったなぁ。」
私はそう言ってから確認のために栄斗を見た。そうすると、栄斗は満足したように笑顔で頷いていた。
よかった、間違ってなかったみたい。それより、すごい嘘ついちゃった。雑誌はいつも余るほど、読みきれないほどもらって、ほぼ毎日のように会話は私の仕事のことばっかりだった。でも、私の一番の親友は、BLUE starとしての私じゃなくて、日下葵としての私を見てくれたな。
私がそんなことを考えている間に、クラスにいたみんなもモデルが親友とかすごいな、みたいなこと言ってからそろそろHRの時間になるということで自分のクラスや席に戻って行った。
そのあとHR中に安堵の息をついているのを勇にぃと栄斗、そして拓人が見ていたことに私は気づかなかった。