「ハイッ」
トン
トン
トン
トン
トン
…………………
「召し上がれ?」

私がそう言ってからやっとみんなは話すのをやめて机の上を見た。
「「「は?」」」
「へ?」
「これ、ヤベェ」
「本当に葵が作ったんですか?」
「葵、お前すげぇよ。」
褒めて、くれてる………のかな?

「「「(すごく)美味しそう(です)!」」」
「あ、はは?本当に美味しいといいけど。」

パクッ
みんなは一口食べると、そのポーズのまま固まってしまった。
「………?あれ?みんな?ど、どどどどうしよう!不味すぎてみんな固まっちゃった!?栄斗?玲央?拓斗?」
普通のトーストとスープとサラダだけなのに、そんなに私の腕下がったのかな?昔はみんなお世辞でも美味しいって言ってくれたのに、今はお世辞でも言えないほど……!?

「ヤベェ」
へ?
「こんな味初めて…」
嘘!?
「葵、お前マジかよ。」
え、もしかして、そんなにまずかった?
うぅ……
「え!?葵!?なんで泣きそうになってんだよ!?」
「だって、まずかったんダロ?みんな一口目で固まってたし。」
「「「違う(違います)!」」」
みんなは声を揃えて言った。
違う?何が?
「俺は、ヤベェ、めっちゃ美味しい、の意味で、ヤベェ。」
へ?
「俺は、こんな美味しいもの初めて、でこんな味初めて。」
嘘!?
「俺は、昔食べたときよりもさらに腕が上がってたから、葵、お前マジかよ。って言ったんだ。」
うぅ……
「え!?葵!?なんで泣きそうになってんだよ!?」
「だってぇ、そんなに褒められたの初めて………嬉しいよ!ありがとう、みんな!」
私がそう言って笑うと、みんな顔を真っ赤にした。