〜 栄斗 SIDE 〜

「うん。昔一回だけ飲ませてもらったことがあったんだけど、それ以来一回も飲んだことがなくて。」
俺はそれを聞いて胸が苦しくなった。
さっき食堂にいた時も、とても切ない顔をしていた。葵。お前の目には、一体何が写ってる?
葵…。無理するなよ?俺が絶対お前を守るから、絶対、絶対あいつらにお前を渡さないから!
「まあ、飲めばいいじゃないか。アメリカじゃどっちにしろなかったんだろ?」
俺がそう言うと、玲央と拓斗が

「「アメリカ??」」

と声を揃えて言った。
「うん、そうなんだよね。どっちにしろ買えなかったから、今飲めたらとっても嬉し「ゴホゴホッゴホン!」」
こいつ……今自分が男だってこと忘れてたな。完全に女口調になってるし。うわ…しかもこいつ今気づいたって顔してる。

「まあ、豆乳だろ?冷蔵庫にあんじゃね?玲央この間買ってただろ?」
「でも悪いよ。俺食材買いに下行くから、ちょっと行って、今買ってくるよ。」
葵がそう言って立ち上がったから、俺たちもついて行くことにして一緒に立った。
「俺らもついてくよ。」
「あ、ありがとう……」
あれ?でももう夕飯は食ったよな?
「葵、食材って、何のために買うんだよ?」
「ん?ああ、お弁当の材料だよ。明後日からお昼も向こうで食べなきゃだから、明日時間あるか分からないし。」
そういえばこいついつも自分で作ってるって教えてもらったな。
「ああ、そっか。」
そう言って俺らは下に行った。

〜 栄斗 SIDE 終わり 〜