部屋に行って、一通り片付け終わった後、田口さんが私を呼びに来た。2人で食堂に行くと、そこにはたくさんの人がいた。どこを見ても、男、男、男、それに………男………。私はそれだけでめまいがして倒れそうになった。
「あの、これは……」
「日下葵さん、ようこそ第2寮へ。俺はこの寮長で、3年の天音海斗です。よろしくね。」
「よ、よろしくお願いします。」
「そう堅くならなくても良いよ。年上も年下もタメ口にした方が、親しみやすいでしょ?………ところで、君の肩に乗っているのは?」
そう言って、天音先輩は私の肩の上を見た。
「あ、これはシマリスのモカとチョコです。」

「「「「「「「「「「シ、シマリス……」」」」」」」」」」

あれっ?シマリスってそんなに珍しいかな?
「あ、あのっ」
「な、なんですか?」
これは………ネクタイの色からして1年。あ、同じ学年か。良かった〜。
「そのシマリスの………モカとチョコ?って、誰にでもすぐに懐く?」
「うん、俺の知る限りだとそうだよ。」
あ、フツーに《俺》って言えた♪
「僕の肩にも乗るかな?」
「ああ、多分、な?試して見る、か?」
うわ、男の子ってこんな感じかな???

「いいの?」
「もちろん!」

その言葉をきっかけに、それから夜ご飯の時間まで、モカとチョコは注目の的になっていた。なんか私よりも人気あるし……。でも、2人のおかげでたくさんの人に知り合えたから、いっか。

モカ、チョコ、さっきはペットなんて言ったけど、モカとチョコは私の大切な家族だから。いつもありがとう。
……こんなところでお礼言うの変?でも、2人のおかげで友達できそう。うん、頑張ってみよう!



私がそんなことを思っているのを見ている人がいたなんて、私は全然気づきもしなかった—————