「はぁ!?俺は転校生なんて聞いてな……あ、いや。聞いてませんけど、学園長?」
「ああ、そうだったっけ?まあ、お前もきっと文句はあるまい。なあ、勇斗?」



あぁ………


私の担任……



「…勇にぃ、だよね。」
その時、またクラスがザワッとした。
「その声、もしかして、葵か!?」
「う、うん。…って、お兄ちゃん、なんで教えてくれなかったの!? わた…ムグ! 」

お兄ちゃんに手で口を塞がれた。

「コソ) お前、今男なんだぞ?今から俺らの前以外では、男らしく話せ。一人称も『私』から『俺』にしろ。」
「コソ) ご、ごめん。気をつける。」
そんな私たちを見ている勇にぃの頭の上にハテナが浮かんでいるのが見えた。


「じゃね。」
そう言って私にウインクしてから帰るお兄ちゃんをクラスの人たちが呆然と見ていた。