── 4月。


桜が舞う中、私は門をくぐった。


今日は春日丘高校の入学式。


「初唯(ウイ)ー!!」



私を呼ぶ声に振り返ると、嬉しそうに笑いながらこっちに向かって走ってくる陽葵(ヒマリ)ちゃんの姿が見えた。


「初唯、もうクラス見た!?」


「まだだけど…」


「行こ!!」


答えると私の手を取り、走り出す陽葵ちゃん。


私は引きずられるかのようにクラス表のところまで走って行った。


たくさんの名前の中、自分の名前を探す。


「あ!吉川初唯(ヨシカワウイ)!あった!!」


4組の中に自分の名前を見つけ、声を上げる。


「4組のとこ、全員見てみ?」


そう言われて1番から順に名前を見ていく。


知らない名前が並んでいる中、ひとつだけよく知る名前を見つけた。


「佐々木陽葵(ササキヒマリ)!
陽葵ちゃん同じクラス!!」


「そうだよぉ!
また1年間よろしくね初唯!」


陽葵ちゃんが嬉しそうに私に抱きつく。


私もぎゅーっと抱きしめ返した。


《新入生のみなさんは各教室へ移動してください。》


放送がはいり、私たちは2人並んで教室へと向かった。