となりの弱虫ヒーロー【短編】

「明日から、別々に学校行こう」


そう言った君の瞳に、迷いはなかった。


ただ、少しだけ泣きそうに眉を歪めていた。


なんで、君がそんな顔するんだ、と思った。


泣きたいのは私だよ、と思った。


でも、泣けなかった。


君を守るのが役目だった私は、いつの間にか泣き方を忘れていた。


「わかった」


と私は言った。


たったそれだけで、積み重ねてきた時間は崩れ去った。


そうやって、私は一人になった。


君がいなくなっても、誰も私のそばに来ようとしなかったし、私も誰とも関わろうとしなかった。


私の隣は、君だけがいい。