昔々あるところに2人の子供がいました。その子供は親と愛犬にたくさんの愛を注がれ元気に育ちました。しかし、それは小学3年生までの話。


_______________ねぇ、お父さんは?

_______________あんた達のせいよ。なんで、なんでこんな子達なの。お父さんはね、出てったのよ、他に女がいたのよ…っ。あんた達のせいで…。

父親の浮気が発覚し、両親は離婚。母親の精神は崩れていきました。子供の顔さえ分からなくなるくらい…。
子供たちは頑張りました。母親に認められるように。妹は得意だった勉強を伸ばしました。兄は運動を頑張りました。だけど、それと同時に2人の精神も蝕まれていきました。

_______________ねぇ、お母さん。僕ね、リレーで1位になったよ。
_______________私はね、勉強で2番だったよ。

一生懸命母親を喜ばせようとします。けれど、母親はの一言で子供たちの心は完全に砕けます。

_______________なんで、貴方が勉強できるの…。なんで、貴方が運動できるの…。……どうして、私が望んだことの逆をするの。だから、あの人が私から離れていくのよ!

母親は兄に勉強、妹に運動を望んだみたいです。その頃から妹は誰とも喋らなくなりました。その頃から兄は無理して笑うようになりました。そこで兄妹は誓いました。


『不幸な母さんを幸せにしよう。』と。


母親はテレビ関係の仕事をしていました。2人はそこに入りたい、と言いました。すると、母親は喜びました。
2人は疲れました。母親の前、つまり仕事では兄妹入れ替わるも同然なのですから。だけど、とても嬉しいのです。母親が笑ってくれることが嬉しいのです。母親が笑ってくれると2人も笑えたのです。それが、心からの笑いでなくても、兄妹にとっては心地の良いものだったのです。