「莎駆、無事だったのね!」
莎駆、莎駆と言いながら車椅子の理駆先輩に近寄る女性。きっと、理駆先輩達の母だろう。

「母さん、病院。」

声を上げたのは僕達が莎駆先輩だと思っている方。
「そ、そうね。…あら、貴方達は莎駆のお友達?」
「…え、あ、はい」
状況についていけない。
「私は莎駆と話がしたいから、理駆といてくれる?わざわざ来てくれたから後で家に招待するわ。」
優しそうな母親だ。だけど、どこかがおかしい。
「早乙女先輩達、行く。」



「えっ、君が莎駆君だよな。」
早乙女先輩がそう問うと莎駆先輩はコクリと頷く。
「ごめんなさい。」
「謝らなくていいですよ。だけど、どういう状況か説明してくださいね。」
「…分かった。」

_______________家、分かる。全部、話す。

家に行ったら分かる。
全部話す。

単語でしか話さない先輩が、デパートではしっかり話していた。