家に帰ると、彗は僕達が出ていった時と全く同じ体制でゲームをしていた。
「ただいま。大丈夫だった?」
「…ただいま……。」
「………おかえり……………。」

そして、哀川さんはバイトがいつもより早くあるらしく、お昼ご飯を作ってすぐ出発してしまった。
「ほら、彗。まだご飯残ってるからゲームをしない。」
「…もう、お腹いっぱいだから…………。」
僕たちが完食しても彗はまだ半分以上残っていた。こういう時はどうしたらいいんだろう…。子供の世話なんてしないのに。いや、彗は子供じゃないけど………。
「…いつも、そんなに食べないから……。」
「食べないと成長しないよ。」
「……俺、これでいい……………。」
下を向きながら季節外れのパーカーの袖をきゅっと握っている彗。僕が初めて見た時から澄と一緒で一年中長袖だった。

「…俺に、なにか付いてる……?」
「別に、何も無い。」


きっと、澄と同じ理由なんだろうな…。