「じゃあ、俺は家に戻るから。彗、大人しくしとけよ。」
「俺が騒がしい時あった………?」
「いや、ねぇな。」
それじゃ、と言って澄君が後ろを向く。
でも、それを呼び止める声。

「澄兄さん、迎えに来てよ…。」

「…………じゃあな。」
彗君が放った言葉に対する返答はない。悲しそうな顔で、だけど安心させるような顔で。


「彗、奥行くよ。」
「…うん。」
緋山君がずっと立ったままでいる彗君の背中を押す。彗君は澄君の弟なのかな…。

「ちょ、ちょっと待っててね。すぐにお茶とか持ってくるから。」
「……ありがとうございます。」
「ケ、ケーキって食べれる?イチゴタルトケーキ。」
「…多分食べれます。」
本当に消えそうな声。少し長い髪で、俯いてるから表情が見えない。
こ、こういう時ってどうしたらいいんだろう。緋山君と澄君の会話から察すると彗君も泊まるって事だよね。