みんな黙り込む。安全な治療法がないなんて、そんな………。ねぇ、なんで、なんで眞白先輩なの………………。

「ね、私は大丈夫だから。帰ってもだ、」

「いい加減自分を偽って笑ってんじゃねぇよ。」

私たちを帰らせようとする声を遮ったのは怒気をふくませた澄君の声だった。


「大丈夫なわけねぇだろ。あんたが今までどれだけ手術していたか俺知ってるんだからな。」

澄君が言葉を放つ。その言葉に眞白先輩は唖然とするしかなかった。

「え……。なんで知って………、」

「新聞に載ってるんだよ、弓景家のことは。今まで何回手術したとか書いてあるんだよ。俺は覚えてるんだよ。全部載ってたからな。生きようと努力したんじゃないのかよ。家族で病気に勝とうと頑張ったんじゃねぇのかよ。なんで途中で諦めてんだよ。」

手術していた?

生きようと努力した?

諦めた?

「ま、眞白先輩……?澄君……?」
よく分からなくなってきた。
なんで澄君は怒っているの?
眞白先輩は何を隠しているの?