「じゃあ、此処で待つか。」
「…不法侵入で、訴えられるのは……澄兄さんだけ、だから…。」
「俺を見捨てるのか!?」
「……待ってる人がいないと、帰りたくない、でしょ。」
「まぁな。」
よくわかってんじゃん、と笑う螢。それにつられて彗も少し微笑む。



_______________ガチャ。


入ってきたのは手を繋いだ螢と澪月。これはどう見ても澄の負けだった。
「で、螢達は付き合うことになったのかぁ。」
「…………なんで、家にいるの。」
「だって、澪月が心配だった彗が言ってたから。あ、どうやって入ったかってこと?合鍵だぜ。」
そう言うと隣にいた彗に澄は腹を小突かれた。

_______________グゥゥゥゥ。


澪月のお腹がなる。恥ずかしそうに螢の後ろに隠れる。

やっぱりどんな時でもお腹はすくんだよなぁ、と改めて澄は感じた。

澄は嬉しかった。
優しい澪月と優しい螢が付き合ってくれて。どちらも自分を救ってくれた人だから。


「幸せにな。」
小声で呟く。きっと、澄の声は誰にも届かない。隣にいる彗にも。


なんたって、これは誰にも届いて欲しくない俺に似合わない本音だったから_______________。