桜岡駅に着いた……けど。
「出発しちゃってる……。」
間に合わなかった……?最後の最後までダメダメだ。涙があふれる。うずくまる。通行人の視線を感じるけど、今はそれどころじゃない。
「…ぅう。」
堪えようにも堪えられない。
すると、私を大きな影が包んだ。


「何そんなところでうずくまってるのさ。」


ふわり、と懐かしい香り。振り返ると………………。

_______________ごめん、そんなに泣くなんて思わなかった。

「ほ、本物?」
「僕の偽物なんているの…?」
いつも通り冷静に返してくれる。やっぱり緋山君だ。偽物なんかじゃない、本物の。
_______________ギュッ。
思いっきり飛びつく。緋山君は怖くない。それよりも嬉しい気持ちが勝っていた。勢いがあったから倒れそうになったけど、緋山君は支えてくれた。

何でここにいるの。電車は出発しちゃったよ。お兄さんと帰るの。とか、沢山言いたいことはあった。だけど、一番はじめに出てきたのは……、
「私を1人にしないで………!1人は寂しいから、置いていかないで………。」