この海を目に焼き付けて、僕は歩きだそう。
東京に戻ったら、やらなきゃいけないことが沢山ある。
渉がいなくなってからも、僕は人に出会い、人を愛してきた。
生きてる限り続くんだ。
生きてる限り、今は過去になり続ける。
いつか渉のことを思い出さない日が来るかもしれない。
本当に、心から笑う日も来るかもしれない。
でも勘違いしないで欲しいんだ。
渉を思い出さなくても、心から笑う時でも、渉を忘れたわけじゃない。
いつまでたっても、渉は僕のたった一人の妹だから。
世界一大切な、たった一人の妹。
短い髪もスカートも、怒った顔も、笑った八重歯も。
忘れることなんかないよ。
渉がない世界で、渉はずっと生き続ける。



