でも違った。
それはただ、辛いことから目をそらしてるだけ。
それじゃ駄目だって、渉と向き合えてからようやく気付けた。
どんなに嘆いても、どんなに望んでも、渉はもう戻ってこない。
それがどれだけ苦しくても、世界は目まぐるしく動くんだ。
僕は渉がいなくなって、そんな歯車から一歩いつも引いていた。
どんな幸せも希望も、抱いちゃいけないと勝手に思ってた。
でもそれじゃ駄目なんだよな。
だって僕は、生きてるから。
渉が確かにいた世界に、二人で生まれてきた世界に、今僕は一人で生きてるから。
立ち止まったままの僕を、渉はどんな気持ちで見てた?
背中を押してくれてるのはいつも渉だったって、ちゃんと気付いてた?



