「よう来よったねぇ。渉ちゃんと二人で、百円玉握りしめて」
「そうだな」、僕は呟き、渉が好きだった小さなドロップスの缶を手に取る。
色とりどりのドロップス。渉は薄荷だけ食べれなくて、僕はそのせいで薄荷ばかり食べるはめになっていた。
そのおかげで、今でもキャンディを選ぶ時は無意識に薄荷を選んでしまう。
「…渉ちゃんに、会いに来たん?」
僕はばあちゃんの方を向いた。優しいばあちゃんの笑顔。多分ばあちゃんは、何もかもを知っていた。
「…一緒に、帰って来たんだよ」
僕は言った。ばあちゃんは少しだけ目を丸くしたが、「そう」と小さく呟いた。
「そしたら渉ちゃんには、そのドロップスをあげようねぇ」
僕が手に持っていたドロップスを見て、ばあちゃんは言った。僕はそれを見てから、「ありがとう」と呟く。
『ばあちゃん、ありがとうっ』
渉の声が蘇った。
八重歯を出した、あの笑顔も。



