きっと、1人だと見せかける為にくっついてるんだろう。

でも、これは恥ずかしすぎる!

電車の時よりも密着している体勢に、心臓はもう狂いそうなくらいに高鳴っていて爆発寸前だ。

そこに、先生が引き戸を開けて入ってくる。


「寝たふりかお前ら。声が聞こえてたぞー」


まさか酒でも飲んでたんじゃないだろなと口にしながら、室内を歩き始めた。

どうやら部屋を調べているようで、ミシッ、ミシッと先生が移動する音がする。

みんなが息を潜める中、私はあることに気づいた。

私の手が二ノ宮の胸板に当たっているんだけど、そこから感じるのだ。

ドッドッドッドッと。

二ノ宮の心臓も私と同じくらいに早く動いているのが。

先生に見つからないかと緊張しているんだろう。

というか、それはそうだ。

布団の中で私を抱き締めたまま見つかれば説教どころか反省文もつくかもしれない。

口から心臓が飛び出てしまいそうなくらいにやばい状況。

先生はまだ様子を伺っているのか出て行かない。

見つからないでと緊張でおかしくなりそうな中、思わずすがるように二ノ宮のTシャツをキュッと握った。

早く部屋から出て行ってほしい。

でも、行かないでほしい。

こんな状況が続くと、もしかしたら心臓が壊れてしまうかもしれないけれど、二ノ宮の腕の中で死ねるなら、なんて。

そんなバカげたことを考えてしまうくらいに、この状況に戸惑いながらも幸福を感じている。