「兄貴、久しぶり」
そう言ってお墓に話す拓の顔はとっても優しかった
「隣の女が気になるだろ?俺の彼女の宝だよ」
「初めまして、拓の彼女の宝です」
「兄貴に会いたいって宝が言ったんだぞ?」
「お兄さん…」
(ごめんなさい。大事な弟さんを傷つけてしまいました…、それに…また傷つけてしまうかもしれません)
(そして、お兄さんをこんなふうにしてしまっ
た犯人の娘として謝らせてください。ごめんなさい)
私は心の中でそう言うと拓を見た
拓も手を合わせてお兄さんと話していた
私はそんな拓を待っていると、不自然なぐらい心地いい風が一瞬通った
そして何故だか分からないけど、胸がギュッと苦しくなった
きっと、お兄さんの気持ちだ
私はそっと胸に手を当てた


