初めてあなたに会ったのは寝台の上でした。
窓の隙間から春の終わりの湿った空気が入り込み、薄い寝衣にまとわりつくような夜のことです。

私よりいくつか若いあなたは、まだ少年の面影を残していました。
大きくもない目を見開いて、固まったように私を見下ろしているから、「無礼だ」と叱られていて。

礼儀も知らないなんて、ああ、なんて賤しい人、と残念に思ったものです。

押さえつけられながら床に跪くあなたを見下ろして、私はひとつひとつ確認していきました。

髪の色。
毛質。
背の高さ。
一瞬だけどしっかり見えた目の色も、琥珀のような茶色だったから大丈夫。
肉付きはやや悪いけれど、きっとまだ成長途中だろうから、この程度は許容範囲。

「肌の色が……」

私がつぶやくと、彼を押さえつけていた者がよれよれの襟刳りを、さらに大きく引っ張っりました。
服に隠れた部分は顔や腕よりずいぶん白く、そのせいではっきりと見えた左肩のほくろが、なんだか妙に気になりました。

「日焼けはしておりますが、地黒ではありません」

「では、結構です」

あなたから視線を外し、私は寝台に横たわりました。
いつもそうであるように、心はどこまでも凪いでいました。

扉が閉まった音がして、部屋には私とあなたのふたりきり。
その時を待って、私はそっと目を閉じました。