好きな人が現れても……

「……千恵、お前の遺言通り、葉月と一緒に生き直して行くと決めたから。

必ず幸せになると誓う。だから、これからも此処で、俺達のことを見守っててくれよ。

時には真央の枕元に現れて、お淑やかになって欲しい…と願ってくれると助かる。

そして、いつか、また会えたら……」



言葉を区切る彼を振り返り、どうぞ…と言いながら耳を塞いだ。
彼はそれを取り下げて、私の方を振り向いた。


「次に千恵と会っても、絶対に一緒にならないと言えるくらい、幸せな家庭を築こう」


「私と?」


何故…と問いかけると、彼は真っ直ぐな目線を向けて。


「俺が幸せになりたいのは葉月とだから」


そう言って指を絡めてきた。

真央ちゃんが照れ臭そうに両手で顔を隠してる隙に、そ…と頬にキスを落とした。


離れていく彼と微笑み合い、秋の空を仰ぐ。


爽やかな秋晴れが広がる午後。


これから先の日々も、今日のようにずっと心暖かでありますように……


と祈った。




END