狼の王さまに笑顔を。

女の人はそんな私をよそに語り出す。



「私は…幼い頃からずっとノア様を見てきた…無表情なノア様だけどいつも優しくてこんな私でも変わらず見てくれた。」


「そんなノア様を愛していた…なのに急に恋人ができて…しかも人間の女って聞いて…見れば能天気に笑うあなただった。許せなかった…こんなに長く見てきた私じゃなくてなんであんな女なんだろうって…そうしてあなたを監禁して暴力振るっては……っ…スッキリしていた…」


憎悪に包まれたその顔に直感で恐怖を感じた。


だけどスグあとにその顔は悲しそうな顔に変わった。



「そんな時ノア様が過労で倒れたって聞いて生きた心地がしなかったわ…ノア様は見れば私をあなたと勘違いする。私なんか見えていないって思った。それにあんな優しい顔…今まで見たことなかった…。」



ノアはどんな顔をしたんだろうか…


ノアが変わりつつあるのか、その顔が見れなかったことに嫉妬した。


「それが悔しくて、でも悲しくて。一日考えた。あなたを監禁して私はスッキリしてもノア様は傷つく…私は何をしていたんだろうって…」



再び泣き出すとまた私の頬に手を添えてこんなに傷つけてごめんね…と言った。