ノア side






音羽が居なくなった瞬間




辺りがシーンと静かになる




「行ったか…」




待ってるから音羽…



必ず帰ってきてくれ







俺は森を後にし屋敷へ帰った。


















ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー




屋敷に帰るとメイドたちが出迎える





その中にジィが居た。






「ノアよ、少し良いか」



「?構わないが」




俺達は移動しながら話していた




「ちゃんと見送ったかの?」



「あぁ。今頃向こうで俺達のことは忘れて暮らしているだろう」



「………寂しいか?」



「それは…もちろん、真面目に愛した女性だったから」




「変わったな。小さい頃はララの後ろをついて回っていたのじゃが」




「恥ずかしいからやめてくれ…」



そう少し照れくさく笑った



「お嬢ちゃんのおかげじゃな」



間違いない。



前を見て生きる事も、この強い感情も



全て音羽が思い出させてくれた。




音羽の居なくなったこの屋敷は元の静かな屋敷へ戻った。




「本当に良い子じゃった」



「そうだな」




裏庭に差し掛かったところで音羽に貰った花が目に入った



「この花……」



「あぁ、ネリネか。それがどうしたのじゃ?」



「音羽から貰った花だ…」



「そうか、音羽ちゃんはノアにあげたのじゃな」



「花言葉……音羽はもうひとつの方を教えてはくれなかったんだ」



「もうひとつ??」



「幸せな思い出ともうひとつあると言っていた」



幸せな思い出



音羽はそう言ってくれた




あの頃はまだ俺の気持ちは伝えていなかったな

「もう1つは また会う日を楽しみに じゃよ」





「……!」




いつから音羽が俺の事を想ってくれていたかは分からない。



だが、あの時から離れてもまた会う日を思っていたとは…




本当に可愛らしい女の子だ……




「本当に変わったもんじゃ。そんな強く想った顔を見たのは初めてだ」




今俺の顔は照れと寂しさと愛おしさでどうしようもない顔をしているに違いない。




既に会いたい…会って抱きしめたい…



この手で強く……………




「早く会えるといいのう」



「あぁ、楽しみだ」




ジィはそう言い俺の背中をトンッと叩き去っていった




そう言えば…これはジィの手伝いをして聞いてと言っていたな…



これでは音羽に怒られてしまうな…笑





「……音羽…俺もまた会えるのを楽しみにしている…」






ボソッと呟きいつもの生活へ戻った。