狼の王さまに笑顔を。







ノアが術を唱えると森が異様な雰囲気に包まれていった。





「この森を真っ直ぐ抜ければ元の世界へ戻れるだろう。」




「ついになんだね…」




「やっぱり怖いか?」



「自分で決めたことだけどいざ目の前にすると怖い…本当にわがままでごめん」




「おいで」




ノアは腕を広げ私はその中へ



少しずつ落ち着いていく気持ち



安心していく。



これからはもうない、帰ってくるまで…



「ノア…大好きだよぉ…」



「あぁ、俺もだ」



「大好き…」



「あぁ…」




自然と涙が出てくる




力強く抱きしめると、ちゃんと返してくれる



ゆっくり力を緩めて離れた。




「ノア…私ね、ノアと出会えてよかったよ!ありがとう。……………でも…ばいばい。」




「…音羽を好きになれて良かった。 今までありがとう、元気でな」



その言葉を聞いて私はにっこり微笑み
森の方へ体を向け入口の1歩手前まで進んだ




振り返るとノアは優しい顔でこちらを見ていた







意を決して1歩踏み出す…………………