狼の王さまに笑顔を。




辺りはさっきまで明るかったのに
薄暗くなっていて月が顔を出していた。


私の手を離し少し離れ私の目の前に立つと



「よく見ていて欲しい」



そういうと、みるみるうちに大きくなって私の知っている狼さんの姿に変わった。



「やっぱりノアなんだ…」


「俺のもうひとつの姿がこれだ、そしてこの国を治める王…」


「…喋れっ…?私言葉理解出来てるの…?!」


「………少しは人の話をだな…?」


「ご、ごめんっ…そんなつもりは…」


「俺は動物になろうが音羽に通じる言葉くらい喋れる、音羽の反応が可愛かったからわざと喋らないでいたが」


「そうだよね、それぐらい…」



可愛い…へへっ 照れちゃう///



ノアは人間の姿に戻ると真面目な顔をして私の目を逸らさず話した。



「話を戻すがこれから先俺の隣にはお前がいて欲しいと思う。この気持ちになんの偽りもない。音羽には居づらい状況にも限らずこの世界を気に入ってくれたこと凄く嬉しかった」


「ただ…さっきは嫁に貰うと言ったが音羽は人間で、あっちの世界に大事な家族や友達が居るはずだ」



ルーティオに来て最初は不安がいっぱいだったけどこの世界が大好きになって、誰かを好きになるっていう感情も知って


いつの間にか大切なものたちで溢れていたのは前から気づいていた。


だけどそれと同じくらい大事な元の「人間の世界」


一人っ子で物心がついた頃にママはパパとは違う男の人とどこかに行っちゃって悲しかったけどその分パパが大事に育ててきてくれたから今ここまで生きてこられて


なんでも話せてふざけ合える心許せる友達が居て…


大事なものが二つの世界に出来てしまった。




「正直 帰りたい と、そう思うことは無いのか?」


「それは…どうしてるのかなとか思ったりもちろん会いたいな…とは思うけど…」




なんで…そんな事を聞くんだろう…


ザワザワと…私の中で音をたてた








「音羽…お前はどちらの世界で生きたい?」












その一言に私はドキンッと胸を打った………