狼の王さまに笑顔を。

音羽の横のベッドにエレナが横になり輸血を始めた。


エレナの腕から管を通り音羽の中に入っていく。


それを見ながら椅子に座り輸血完了を待った。


さすがに俺も疲れてきたな…。


気が遠くなるのを何とか保っていた時…



「ううっ…あっ…!!!!」



あと少しで輸血が終わるという時に急に音羽が苦しむように暴れだした。


一気に正気に戻り、立ち上がる。


音羽の中にいる呪文が輸血を拒否しているのか…



「早急に呪文を解く事に取り掛かる!!皆この部屋から出ろ!」



あと少しで終わったのに…


仕方ないが、これだけ輸血されていれば十分だ。


皆が外に出たのを確認し…



「うぅ…はあっ…ああ"…」


唸りながら暴れる音羽を押さえつけ…視線が合う。


その目は…音羽のものではないように感じる。


そう、操られていた時のような……


狂気に満ちた目で俺を見ているその目から涙が流れていた………


奥底にいる音羽の感情…か…??


………いやわからない。


尋常じゃない力に怯んだら振り払われてしまう
そんなことを考えてる暇もない。


「…音羽、あとちょっとだ。あとちょっとで全て終わる…」



そう言って手をかざし、解く術を唱えた________