狼の王さまに笑顔を。

男は音羽とエレナの血を受け取り何やら呪文を唱えた。
そしてふたつの血を混ぜ様子を伺う。


息を呑むように俺たちは黙ってそれ見ている。


暫くすると血が一層赤黒くなり男がはぁ…と息を吐いた。



「成功です…これなら輸血しても大丈夫です!!」



額に汗をかきながらパァッと明るい顔を見せた男。


こんな奇跡が起こるんだな…


これで助かるのか。


いや、まだ安心は出来ない。
音羽が目を覚ますまで……



「そうとなれば早速始めよう」



まず輸血し、その後に術を解く。


皆にそう伝え取り掛かる。