狼の王さまに笑顔を。

一か八かの賭けという話か…


万が一音羽に何かあれば…



「それを確認する方法はないのか。」



それは…と黙り込んでしまうもの達。
事例がない事で分からないのであろう。


俺だって噂程度でしか聞いたことがない…


そんな都合のいいことがありえるのだろうか…



「あの………」



途方に暮れ沈黙していた空間を破ったのはずっと黙っていた男だった。



「俺が…確認します。悪魔の力を持った俺なら出来ます…。…お嬢ちゃんと輸血する方の血を少しばかりくれませんか…」



「そうか、、」



その話が本当なのかは分からないが出来ることならやり尽くすまで。



「なっ!お待ちください!この者は…。こんな事になってしまった原因である悪魔の力で確認するのですか?!」



信用ならないと言いたげのローレスとそれと同感だったのかエレナまで焦った顔をしてこちらを見た。



「では、宛がなくこのまま音羽を苦しめるか…?」


「いえ…そんなつもりは…」


「信用しろとは言わない、ただもし何かやましい気持ちが残っていたのならこの者は今ここにいない、この敷地に入ってこれない。そうだろう?」



許せない気持ちは分からんでもない。


俺だって出来ればこの者には頼りたくないが
血液を確かめるなんて術、俺には持ち合わせていない…



「はい、申し訳ございませんでした…」


「構わん。……で、輸血だが俺の血で良いか?」


「それなら私の血を音羽に輸血させて下さい。」



俺の血を輸血しようと思ったがその強い眼差しに、なんの迷いもなく受け入れた。



「あぁ、すまないが頼む。」


もちろんですとニコッと笑うと腕を出し医者が採血した。