ノア side






ありがとう_______


そう言って目を閉じた音羽。



「……音…羽…?おい…目を開けろよ!音羽!!!」



何度問いかけても目を開けず応えてくれない。


涙が流れている事も、王である自分の立場も何もかも全て忘れて取り乱していた。



「王様………お嬢ちゃんは………」



「黙れ…!屋敷から医者を連れてこい!」



もうダメかのように話しかけてきた男に声を上げてしまう。



「いやでも…俺は入れないですよね…」



ああ、そうか。


元々は俺達を狙ってきた者だったな。


音羽がその命助けたんだ。



「入ってみれば分かるだろう」



男は驚いた顔で恐る恐る門に近づいた。